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neco論で経済41回 「平成時代を振り返る」

平成最後の「neco論で経済」で、平成時代を振り返った。以下は望月講師のレジュメ抜粋です。

平成時代は低体温経済続く
◆引き金となった環境
・株価や不動産の暴落=バブル崩壊による資産デフレが長引く。
・実体経済に見合わない円高環境

◆経営判断のマイナス・スパイラル
・借り入れを増やさず。身を縮めて守りの経営に徹する。
・製品値上げはせず、賃金も上げない。

外為市場で潜在的に持続する円高圧力
円は地政学的不安定時の安全通貨 08年9月のリーマン・ショック後、外為場は急激な円高となった。米国発の金融危機に次いで、欧州の政府債務危機が表面化、ドルやユーロの信頼が揺らぐ中、価値が下がらない「安全資産」として円が買われた。中東紛争もその材料に。 円高は自動車などの輸出産業を苦しめ、景気低迷は長引いた。最近は日本銀行の異次元緩和もあり円安傾向が続くが、世界景気に不安材料が高まると円高になる傾向は今なお潜在的な要因に。

際立つ日本の低成長
・平成時代に入ると、日本の成長率は1%台を低迷。02ー15年の間のGDP年平均成長率は中国9.36%、インド7.62%に対し、米国1.97%ドイツ1.33%となっている。日本は0.93%と1%に届かない。

高度経済成長のツケを払わされたバブル崩壊
・バブル崩壊で不良債権がふくれ上がる
・不動産バブルの頂点だった91年、金融機関の総貸付残高は約832兆円で当時の名目GDP(474兆円)の1.76倍に達した。うち企業債務は627兆円と実質GDPの1.49倍に膨れ上がった。
・不動産価格の暴落で、値上がりした土地を担保に与信規模を膨らませた「土地本位制」による信用創造システムが一気に崩壊。
95年には住宅専門会社7社の不良債権(8.4兆円)が表面化、公的資金の投入が決められたのに次いで、97年には山一證券、北海道拓殖銀行、長期信用銀行などが相次いで経営破綻に。

脱デフレの呼び声で敢行した大規模金融緩和も実効性上がらず。
・08年の金融危機などを経て、先進国の政策金利は軒並みゼロ%付近まで下がり、デンマークが12年先陣を切ってマイナス金利政策を導入。
・日銀も量的緩和に継ぐ追い討ち策として16年2月にマイナス金利を導入。日銀預金に-0.1%のペナルティを課すことで市中貸出増への追い出し作戦をねらったが、銀行収益の圧迫など副作用の方が目立つ。

企業の財務体質は大幅改善
企業経営の防衛的な足取りは数字面にも端的に表れている。
・低成長下にもかかわらず、企業は内部留保の確保にいそしみ、平成時代を通して利益剰余金を増やしてきた。とりわけ、アベノミクスが始まった12年度を境に増加テンポが早まり、16年度末の合計額は406兆円と初めて400兆円を超えた。
(法人企業統計:出資金又は基金1千万円以上の営利法人を対象)
これに伴って自己資本比率も上昇、16年度には法人企業統計で40%に達している。上場企業の平均でみると、82年度の20.6%から16年度には40.4%へと上昇。
・企業の手元現預金も積み上がっており、16年度末で211兆円、12年度比43兆円増。このうち大企業が17兆円増、中小企業が21兆円増となっており、全体の6割弱は中小企業が保有している。

時価総額ランキング 30年間の落差
平成元年時点の時価総額ランキングは文字通り『ジャパンアズNo1』。日本企業が上位を独占し、20社中14社を日本企業が占めた。
2018年8月の世界ランキングでは様変わり。07年に10位にとどまっていたトヨタは17年には44位に後退。

銀行は再編で3メガバンクに集約
2010年代前半に再編進む。
日本には99年時点で、都市銀行13行をはじめ21の全国銀行があったが、2010年代前半で再編が進み、現在は3メガをはじめ、5つのグループに集約。なかでも、三菱UFJグループは21行中7行を束ねるトップバンクに。

損保業界も3大グループへ再編
生保は準大手の再編が進む

石油業界
かつて石油元売りは13社に上ったが、平成の間に3社にまで絞られた。総業家の出光の反対で出光・昭シェルの統合は3年がかりの長帳場となったが、その間、旧日石GのJXは着々と地歩を固め、シェア5割を超えるガリバーに

流通業界の再編
・総合スーパー(GMS)の凋落
2000年頃から、衣料品はユニクロ、家電はヤマダ電機など大型専門店チェーンが台頭、ダイエー、西友など総合スーパーは品揃えや価格の優位性を失って急速に地盤沈下。イオン、セブン&アイホールディングス、ユニー
・百貨店再編は東京、大阪をコア
セブンGが傘下のそごう・西武の関西店舗をH2Oに譲渡したほか、各社が不採算の地方店を閉鎖するなどで合理化を進め、高級化とSC化の併用で生き残りを。三越伊勢丹ホールディングス、J.フロントリテイリング、高島屋

アマゾン(直販型)、楽天(モール型)などネット通販が伸長。
・アパレル、旅行、食品なの専門分化、メルカリなど個対個の業態も。
2017年のネット通販市場は物販系で8.6兆円、サービス系で5.9兆円、コンテンツ系で2兆円と計16.5兆円に。
宅配便の取扱個数は2017年度に42.5億個と15年で倍増

自動車は海外戦略の優等生
トヨタ以下、4位のスズキまでは海外生産が国内を大きく上回り、生産の現地化が進捗。とりわけ、ルノーと提携した日産は海外販売比率が9割を超えている。ホンダも生産・販売で脱日本を進める。

平成を貫いたトレンドを俯瞰すると
イデオロギー希薄化
ポスト55年体制(自・社拮抗の構図)の崩壊
•自民党内は派閥の求心力が低下➡勢力拡散から安倍長期政権へ
•切羽詰まった対立軸が希薄化したため、野党勢力はつぶし合いに。
少子高齢化
10年をピークに人口減少、高齢化も加速
年間出生数はかつての200万人台から100万人を切る水準に細る。
グローバル化
功罪が相半ばし、反グローバル化を呼ぶ。
•90年のソ連崩壊は自由市場を一気に拡大する契機となり、世界貿易がかつてない成長期を迎える。リーマン・ショックは中国など新興国に躍進のチャンスを。
•15年ごろから、欧米先進国でグローバル化の影が。中間層の没落、移民の急増
インターネット革命
WWWが自由な双方向型通信をサポート
•スマホの登場で、パソコンをベースにしたWebサイト型の1対多の利用形態から脱皮、無線による1対1の双方向型通信が一気に広がる。➡IoTの基盤ができる。

平成後期は人口減少表面化
日本の総人口:18年10月1日現在で1億2,644万人、65歳以上人口は3,515万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)は27.7%。総人口はピークの08年比で196万人減少した。最新の推計では、53年に1億人を割って9,924万人となり、65年には8,808万人にまで落ち込む。

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